カクマキャンプは、LGBTIに対して他の難民、警察が日常的に暴力をふるう場所です。そのため、昨年12月UNHCRは210人のLGBTI難民をナイロビに運び、そのほとんどに、都市部難民の資格を与え、(ケニア難民局も)都市部生活を開始させました。
しかし、都市部でよくあるように、付近の住民がLGBTIが住んでいると警察に通報したのです。空き家が多いアパートだったので、大家は、9部屋を65人(カクマから来たLGBTI難民)に貸しました。(後に都市部難民が加わって合計76人)大家は収入になるのでそのときは、そこに住んでよいと認めていました。家賃は、主にHIAS(ユダヤ人難民支援団体)の給付金で払っていました。わたしたちRRCJも足りない分の食糧費を少し援助していました。
しかし、6月初旬、付近の住民が、地元のチーフにLGBTIが住んでいると苦情を訴え、チーフは、立ち退きを命じました。大家もそれに従いました。警察も呼ばれてしまいました。
76人のうち、31人は、”いずれ都市部難民の手続きをする”という約束をRASとUNHCRにされていたので、一旦は、逮捕されたものの、釈放されました。76人は、別の空いている4部屋(4部屋に76人!)入れられ、警官が配置され、出られない状況となりました。
あまりに、密集し、下痢した患者が10数人でたので、赤十字が一時駆け付け、集団感染防止につとめてくれました。
UNHCRに彼らは助けを求めていました。ようやくUNHCR職員が到着したのは、立ち退き後数日してからでした。
UNHCRは警察のなすがままでした。
警察は、76人全員刑務所か、カクマ行きかどちらかになるだろうと難民に話しました。
(罪状は、難民が集団で住んでいたということです。)
76人が同じ部屋に住んでいたわけではなく、同じ大家の9部屋を借りていたのですが、集団生活をしていたという罪状が当てはめられました。一部屋10人以上で住んでいる都市部難民は、他にもたくさん、あります。この76人が摘発されたのは、他でもなく、付近の住民が警察に訴え出たからです。
地元のチーフは、LGBTIのような呪われた民は、ここにいてもらっては困ると、彼らに告げました。
カクマ難民キャンプは、LGBTIに対し、非常に暴力的です。LGBTIを殺しても罪に問われません。それどころか、暴力を受けたLGBTIが悪いとして、キャンプの留置場に入れられる場所です。
警察は、10数人で、76人のLGBTI難民に銃を突き付けて、バスに乗せ、カクマキャンプに運んでいきました。
今回の事件は、BBC, GayStarなどに報道されました。
報道ではホモフォビックなキャンプという言葉を使うようになりました。これは、UNHCRの行動が物語っています。キャンプ自体がホモフォビックなので、UNHCRが、LGBTI難民をナイロビに運んだという事実から来ています。(過去には他の難民から火炎瓶を投げつけられたり、テントを引き裂かれたり、石打で重症を負わされたり、”ゲイを一人づつ殺してやる”と張り紙を出された場所です。)ケニア政府は再び、カクマキャンプにLGBTI難民を送るようになりました。そこでは、LGBTIは、非LGBTIとして扱われます。
アイデンティティーを完全否定される場所です。